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「あめ、あめ、ふれふれ母さんがー。」
横を通り過ぎる母子が笑顔で懐かしい歌を歌っていた。
ぴちぴちちゃぷちゃぷらんらんらんだったか。
ふと口ずさんで母のことを思い出す。
病室でよくこの歌を好きだと言って歌っていた。
雨が降ってなくても曇りの日も晴れの日も。
彼女の頭の中では雨が降っている。
現実に戻り、目の前には白糸の様に雨が降っていた。
雨は止みそうにもない。
もし、彼女の死に目に会えていたら。
母の皺だらけの手を握っていたら何か変わったのだろうか?
カッコー、カッコーと赤信号が青へと変わる。
今となってはもう、過去の話だが、私はいまだに過去に囚われて進めない。
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