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秋津から人形を渡された翌日。
坂本はとてもイライラしていた。
あの廃村に行ってからというもの理由もなく腹が立つのだ。
講義を終え、家に帰ると机の上にあの人形が置いてあった。
袋に入れたまま部屋に放っておいたと思っていたのだが。
「くそっ……!こんな汚ねえ人形!」
坂本は人形を床にたたきつけた。そして人形の腕を引きちぎった。
すると中から石やよくわからない紙切れがたくさん出てきた。
気味悪さを感じつつも怒りにまかせて、今度は脚を引きちぎった。
次は髪の毛と石……。
最後に首を引きちぎり、背中を割くと中から歯やらお札やらが出てきた。
「なんだよこれ……気持ち悪ぃもん押し付けやがって……」
坂本はそういうと、紙くずや人形はゴミ袋へ捨て、入っていた石は袋へ戻し明日大学へ行くときに近くの道にでも落としていこうと思った。
しかし、なんでこんなたくさん石が詰まっていたのか。
坂本は袋から一つ石を取り出すとじっと見てみた。
そこには小さい文字が一つ刻まれていた。
不思議に思いもう一つ別の石を袋から取り出すと、
そこにも何か刻まれている。
先ほどとは違う文字なのか何なのかよくわからないものがたしかに刻まれていた。
それをじっと見ているとき、突然寒気を感じた。
窓から誰かに見られているような不気味さ。
坂本は急いでカーテンを閉め、石を袋へ戻しベッドへ入った。
こんな石、明日とっとと捨ててしまおう。
紙くずや人形はビニールにでも詰めて大学のゴミ箱にでも捨ててしまおう。
そう思って坂本は布団を被った。
窓の外から聞こえてくる声を無視しながら。
「ごめん……ください……ください……それ……ください」
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