霧の町のブラン

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霧の町のブラン

ブォンと鈍い音が響く程、剣を振り回す。 剣の重さも相まって人間の何倍もの大きさの巨大イノシシに深く突き刺さる。 致命傷を与えられたイノシシはそのまま崩れ落ち絶命した。 ブランは汗を袖で拭って、イノシシに突き刺さった剣を抜き取りくるりと踵を返す。 振り返ると、畑のバリケードから逃げ出そうとするかぼちゃみたいなマンドラゴラが居た。 慌てて捕まえて畑に埋める。 畑も畑のマンドラゴラも傷一つない。 「ミッションクリアだー。今度はもう少し難易度の高いリクエストを受けようかな」 ブランは守りきった畑を見渡して、一人決意するのだった。 霧の町なのに、今日はやけに陽射しが強い。 目が眩んで、瞼を閉じれば守れなかった人の背中が暗闇の中にボンヤリと浮かび上がった。 自分が強ければ、大切な人はまだ側に居たのではないかと思わずにはいられない。 とにかく強くなってやる。 やはりリクエストの難易度をあげようと拳に力を入れた。
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