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器用に蔓を動かしてブランの真上に来ると、シーツをかけ直した。
赤色マンドラゴラは役目を終えると、蔓をしまい天井からバク宙しながら落ちてきた。
着地が決まると、やかんの重さに堪える2匹マンドラゴラ達も拍手喝采だ。
2匹が手を叩くたびに、ボコボコになったやかんの蓋がカチャンカチャンと擦れていた。
隣ではブランが、相変わらず苦しんだ表情で深い眠りにつていた。
部屋の窓から見える外は、不自然に霧が濃くなっていく。
マンドラゴラ達は一匹として、外の様子に興味を示さない。
部屋の中では、三色のマンドラゴラが飛び跳ねている。
カチャンカチャンとやかんの蓋が跳ねる音は、外まで聞こえる。
一匹がやかんのお湯を洗面器に入れ、一匹が続け様にタオルを投げ入れる。
残った一匹が絞り、ブランの身体を協力して拭いていた。
そんな賑やかに看病する風景を真っ黒なローブを着た老婆が一人窓から覗き見ていた。
濃い霧で濡れた前髪を鬱陶しそうに振り払う。
枯れ木のような手なのに、かんたんには折れなさそうに見えるのは、老婆が人間ではないからだろう。
老婆が動く度に異常に密度の濃い霧が意思を持つようについて回っている。
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