あの日の約束が終わるとき、僕は大きく声を上げた

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 今日は9月1日。  西の空が赤くなり始めた頃、僕は夏の日に交わした約束を守る為にこの小さな公園にやってきた。  この時間になると頬を撫でる風も夏から秋へと移ろい、夜中の寝苦しさからの解放も相まってか僕の気持ちは随分と落ち着いていたものになっていた。  だが、それも時間が過ぎ行くと共に苛立ちへと変わってくる。 「それにしても遅いよなあ」 あんなに真っ赤だった夕焼けも今や見る影も無くなって、僕はいつしか公園の入口でウロウロウロウロとしながら月も星もない闇の先の道路に神経を尖らせていた。  お腹も限り無く空いている。知り合いが目の前を一瞥だけして過ぎていった。何か話しかけても良さそうだが、知り合いといってもほんの顔見知り程度でそこまで仲が良い訳でもない。話しかけられてもお互いに困るだけの関係だ。 「ふんっ」 僕はお腹が空いた腹いせに鼻を大きく鳴らした。 「日にち間違ってないよなあ?」 この時間になってくると流石に自分落ち度かと疑心暗鬼の心が頭をもたげてくる。    
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