2002人が本棚に入れています
本棚に追加
/453ページ
営業課長の雨衣 一悟に異議申し立てをしてみたけれど、懇乃介の他にも困った面子がいるとかで、聞き届けてもらえなかったらしい。
「えっ?」
(他の部署の人たちは問題社員が混ざっていようと何だろうと、基本的に個人個人が持ってきているのに……。営業課だけ何で特別扱い?)
確かによその部署に比べたら接待などの絡みで経費の計上が多いけれど、それにしたって。
「戻ったら私からも倍相課長に確認してみるね。チョコ、有難う。けど……差し入れとかホント気にしなくていいから。代わりに仕事、バリバリ頑張って私たちのボーナスに反映させて? あー、あと! 髪の毛、もっと黒っぽい方が五代くんには似合うと思うし、服装もピシッとしてる方が好感度上がると思うぞ?」
まくし立てるように一気に言って踵を返した羽理に、「す、すぐ美容院行きます!」と言う声が投げかけられて。
クスッと笑いながら可愛いワンコを振り返ったら、ワイシャツのボタンを留めてネクタイをキチッと整えている懇乃介が目に入った。
(ホント、基本的には素直でいい子なんだけど)
手のかかるワンコのような後輩は可愛いけれど、他部署なのだし、もう自分たちのことは気に掛けてくれなくてもいいのにな?と、手の中のチョロルチョコ二つを見ながら思った羽理だった。
最初のコメントを投稿しよう!