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羽理は、不合理にも(裸男め!)とたまたま通りかかった屋久蓑大葉をキッと睨み付けたのだった。
***
昼休憩の合図音が鳴ったと同時。
屋久蓑大葉は(荒木のやつ、俺が作った弁当食ってるかな?)とソワソワし始めて。
(ちょっと覗くだけだ……)
そう心の中で誰にともなく言い訳をして、部長室から何気ない風を装って財務経理課のフロアへ出たと同時――。
羽理が同僚の法忍仁子を相手に、大葉が作った弁当を披露している真っ最中のところへ出くわした。
その様に何となく(法忍よ、それ、俺が荒木に作ってやったんだぞ)とか、(やっぱり荒木にはもっと可愛い包みの方が似合うな)とか忙しなく思っていたら、「デキアイヒンじゃないから」云々と断言する羽理の言葉が耳に飛び込んできて。
心の中で思わず、(バカ! どう見ても溺愛品だろ! 俺の愛が分からないのか!)とツッコミを入れてしまった。
それと同時、法忍仁子が「やけに渋い包みね!?」と指摘して。
こちらへ気付いたらしい羽理からキッと睨まれてしまう。
「なっ」
――何故そこで俺を睨む!
(そもそも、お前、今朝弁当渡した時は包みのことなんざ、全然気にしてなかっただろ!)
俺の愛を反故にするような発言をした上、何て理不尽な女なんだ!と思ってしまった大葉だ。
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