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「み、見せつけてなんかっ! 部長のエッチ!」
結果、大葉が本当に言いたかった〝デマの責任の所在〟があやふやになって。
真っ赤になった羽理が、投げつけてきた曲げわっぱ入りの風呂敷包みが……あろうことか大葉の――というより男性全般の急所を直撃してしまったのだった。
***
「ぐぁっ!」
屋久蓑大葉がエッチなことを言ってくるから。
思わず条件反射みたいに手にしていた風呂敷包みを振り回したら、遠心力で手からすっぽ抜けて、大葉の大事なところにクリティカルヒットしてしまったらしい。
海老みたいにギュウッと身体を折り曲げてフルフル震えながら動かなくなってしまった大葉に、羽理は慌てて立ち上がった。
「あ、あのっ、屋久蓑部長っ、大丈夫ですか!?」
ゆさゆさと肩を揺すって問いかけてみても返事がない。
というより多分出来ない様子の大葉に、羽理はますます動揺して。
「部長、か、身体を起こして下さい! 私、私っ」
言うが早いか涙目で顔を上げた大葉の上体をグッと起こすと、股間へ手を伸ばして「痛いの痛いの飛んでいけ~!」と患部を撫でさすった。
「ば、バカッ、荒木! んな事されから……、あっ」
大葉が慌てた様子で変な声を上げるけれどお構いなし。
ヨシヨシすればするほどそこが腫れ上がってくるから、羽理はさらに懸命に手当てをほどこした。
「あ、ちょ、マジで、や、めろ……っ! ホント、それ以上さ、れたらっ、本気、でヤバイ、……から、ぁっ」
大葉が羽理の手首を掴んで泣きそうな声を出すから、不安の余り、羽理の手の動きがどんどん丁寧になっていく……。
そうして、とうとう――。
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