10.夕方は予定をあけておくように!

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「あああ、もう!」  本気を出した大葉(たいよう)にガッと手を掴まれた羽理(うり)は、レフリーに勝者だと宣言されたボクサーみたいに右手を頭上高くに(かか)げられてしまった。  大葉(たいよう)が立ち上がったせいで、お弁当包みが乾いた音を立てて地面に転がる。  それを一瞬横目で追ってから、はぁはぁと肩で大きく息をする大葉(たいよう)へと視線を転じてオロオロと見つめたら、 「ホントお前ってヤツは! ここが公園(そと)だと言うことを忘れてねぇか!?」  思いっきり叱られてしまった。 「えっ!?」  何故「痛いの痛いの飛んでいけ」をして抗議されないといけないんだろう?  それは外でやったらいけない行為なのだろうか?  サッパリ意味が分からなくてキョトンとした羽理に、大葉(たいよう)眉根を寄せる。 「――もしかしてお前、いま自分が何をやらかしたのか分かってない、とか……?」  若干前かがみ。  股のテントを隠すようにして、大葉(たいよう)が盛大に溜め息を吐くから。  羽理は解放されて自由になった手のひらと、微妙に姿勢の悪い大葉(たいよう)を交互に見比べてほんのちょっと考えて。 「えっ。あっ。……わ、私っ! ……もしかしてご立派さんを()で……っ!?」  そう思えば、逞しい雄芯が手のひらの下で脈打つ感触がありありとよみがえってくるようで、今更のようにブワリと頬に(しゅ)がさして、全身が熱くなった羽理だ。 「だっ、だからって! ……そんな風に反応しなくてもいいじゃないですかぁ! 部長の変態! エッチ!」 ***  照れ隠しだろうか。  酷い言われようとともにバシバシ!と背中を叩かれて、大葉(たいよう)は何て理不尽なことを言う女なんだ!と思って。 「あのなぁ。にこんなトコ触られて……反応するなって方が無理な話だろーが!」  勢いに任せてそう抗議したのだけれど――。
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