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「あああ、もう!」
本気を出した大葉にガッと手を掴まれた羽理は、レフリーに勝者だと宣言されたボクサーみたいに右手を頭上高くに掲げられてしまった。
大葉が立ち上がったせいで、お弁当包みが乾いた音を立てて地面に転がる。
それを一瞬横目で追ってから、はぁはぁと肩で大きく息をする大葉へと視線を転じてオロオロと見つめたら、
「ホントお前ってヤツは! ここが公園だと言うことを忘れてねぇか!?」
思いっきり叱られてしまった。
「えっ!?」
何故「痛いの痛いの飛んでいけ」をして抗議されないといけないんだろう?
それは外でやったらいけない行為なのだろうか?
サッパリ意味が分からなくてキョトンとした羽理に、大葉が股間を膨らませたまま眉根を寄せる。
「――もしかしてお前、いま自分が何をやらかしたのか分かってない、とか……?」
若干前かがみ。
股のテントを隠すようにして、大葉が盛大に溜め息を吐くから。
羽理は解放されて自由になった手のひらと、微妙に姿勢の悪い大葉を交互に見比べてほんのちょっと考えて。
「えっ。あっ。……わ、私っ! ……もしかしてご立派さんを撫で……っ!?」
そう思えば、逞しい雄芯が手のひらの下で脈打つ感触がありありとよみがえってくるようで、今更のようにブワリと頬に朱がさして、全身が熱くなった羽理だ。
「だっ、だからって! ……そんな風に反応しなくてもいいじゃないですかぁ! 部長の変態! エッチ!」
***
照れ隠しだろうか。
酷い言われようとともにバシバシ!と背中を叩かれて、大葉は何て理不尽なことを言う女なんだ!と思って。
「あのなぁ。好きな女にこんなトコ触られて……反応するなって方が無理な話だろーが!」
勢いに任せてそう抗議したのだけれど――。
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