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大葉は羽理の手首を握ったまま彼女の言葉を待った。
羽理は、大葉に手を取られたままなことが気になるんだろう。
微妙にドギマギしつつも、「……ゆ、夕飯に誘われただけですよぅ」と素直に白状した。
大葉はそれを聞くなり一瞬言葉に詰まって……。
「――まさか……受けたのか?」
それでも心を落ち着けようと一度だけ小さく吐息を落としてそう続けたのだけれど、不機嫌さが声に滲むのだけはどうしても抑えられなかった。
何故なら脳内で『倍相岳斗ぉ! やっぱりあいつは油断ならんな』ってな具合。懸命に岳斗を牽制していたからだ。
今まで自分の視界に入らなかったのが不思議なくらい、目の前にいる荒木羽理という女性は美しい。
だが、大葉が真実気に入っているのは取り澄ました会社での美人な羽理なんかではなく――いや、そっちもかなりイイのは確かだが――、ノーメイクでほわんと気の緩んだ自然体の羽理の方なのだ。
(取り繕った表面の姿しか知らねぇお前に、コイツの魅力が分かってたまるか!)
そう。何しろ自分は羽理の裸だって見ているのだ。
(お前は知らないだろうがな、荒木は何も着飾ってなくても死ぬほど魅力的なんだぞ? 特に胸とか……胸とか……胸とか……)
そこでふと、自分にとって好みのド・ストライクな羽理の絶妙なプロポーションを思い出した大葉は、慌てて羽理から視線を逸らせると、コホンッとわざとらしく咳ばらいをした。
(お、大きすぎないところがまたいいんだっ)
どちらかと言えば巨乳より微乳……中でも形のいい美乳が好きな大葉だ。
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