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「あ、あのっ。……もしかして大葉も心臓が痛かったり?」
羽理は今まで会社が行う健康診断で、心電図などの検査で引っかかったことは一度もないのだが。
もしかしたら大葉は割と心臓が弱くて、【要精密検査】の常連なのかも?と思い至って……。
そわそわしながらそう問いかけた。
(そう思えば、やたらと彼が心配性なのも、もしかしたら部長自身、身体が弱いからだったんじゃ?)
なんてことまで思った羽理は、そこでふと、薄らぼんやりとではあるが、先日酔って帰った日に大葉から『今夜は危ないから風呂に入るな』と口うるさく言われたのを思い出した。
(あれはそう言うことだったんですね。何か言うこと聞かなくてホント、すみません)
幸い自分の方はそれほど酷い発作ではなかったようで、今は何ともない。
だけど背後から急に「わ!」と驚かされた時みたいに心臓が暴れてびっくりしたことは、まぎれもない事実だ。
(あれが今も継続中となると、相当苦しいんじゃない?)
「ホントに大丈夫ですか?」
大葉の胸元に乗せられたままの手にそっと触れて眉根を寄せたら、「いっ、いや! あのっ。い、痛いのは痛いが……別に病気ってわけじゃないからっ、ホント気にしなくていい。っていうか……余計悪化するからちょっと距離をあけてくれないかっ!?」と、やたらソワソワされて。
「あの……だったら……手を――、この手を放して頂けませんか……?」
ギュッと繋がれたままの手を持ち上げて、恐る恐る言ってみた羽理だった。
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