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そう思うと、イカ焼きや焼きもろこし、焼き鳥、焼きそば、綿菓子、リンゴ飴などなど……。祭りの定番メニューが走馬灯のように頭の中を駆け巡る。
(どうでもいいけど焼きなんとか多いなっ)
思わずゴクリと生唾を飲み込んだ羽理は、綺麗目に見えるワンピースを着て来て良かった、とヘビロテアイテムに感謝した。
***
家族連れやカップルに紛れて一人ウロウロ出店巡りをしていたら、羽理はちょっぴり寂しくなってきてしまった。
無論、羽理だって彼氏が欲しくないわけじゃない。
恋愛ものを書いているのだって、結局は自分の中にある欲望を具現化させているに過ぎないわけだし。
(はぁ〜。どこかに良縁落っこちてないかなぁ)
石垣に腰掛けて焼き鳥を咥えながらそんな事を思っていたら、植え込みの影からニャーンと鳴きながら尻尾の短い小太りな三毛猫が現れた。
「あら、ミケちゃん。貴方もひとり?」
問いかけたら、猫は羽理が持つ焼き鳥に熱い視線を送ってくる。
串には最後の一切れの鳥もも肉がポツンと残っていた。
「んー。あげてもいいけど味が濃いからちょっと待ってね」
言って、串から甘ダレにまみれた鶏肉を抜き取ると、手拭き用にカバンから取り出していたティッシュで丁寧にタレを拭って猫の前に差し出した。
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