14.いなくならないでくれ

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「そもそもホントに飲む気がなけりゃあ食卓に出された時点で辞退することだって出来たはずだ。――それを嬉しげに飲んだのはお前だぞ?」  そうトドメを刺された羽理(うり)は、大葉(たいよう)からの言葉がいちいちごもっとも過ぎて何も言い返せなくて。  それでも黙っているのはやっぱり悔しかったから、グッとこぶしを握り締めて大葉(たいよう)を睨み付けた。 「……にしても、ですっ! 私のコッペンちゃんが下に停めてあるの、だってご存知だったじゃないですかぁ!」 「部長じゃなくて大葉(たいよう)、な?」  この際呼び方なんてどうでもいい!と思いつつ、羽理は恨みがましい目で大葉(たいよう)を見詰め続けた。  ダイニングテーブルというリーチがある分、対面に座っている大葉(たいよう)との間に程よい距離を保てていることが、大葉(たいよう)由来のの羽理をちょっとだけ強気にさせている。  アルコールを口にしたことでマンション下の空きスペースへ停めたままの愛車コッペンに乗れなくなってしまった。  それは、すなわちこのまま〝ここへお泊りする事〟を意味するわけで。  大葉(たいよう)と一緒にいると心臓バクバクの羽理には、そう易々と容認出来ようはずがない。  うー、と(うな)りながら大葉(たいよう)を睨んでいたら、ふと思いついたみたいに大葉(たいよう)が話題を変えた。   「そういえば……。さっき言いそびれてずっと気になってたんだがな? 俺はお前が思ってるよりずっとずっと経験値が低いぞ?」 「え?」 (いきなり何の話ですかね!?)  キョトンとする羽理を置き去りに、大葉(たいよう)が話し始めた。
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