15.腹黒課長の猛攻

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「おはよう、羽理(うり)」  法忍(ほうにん)仁子(じんこ)にポンッと背中を叩かれて、荒木(あらき)羽理(うり)は「ひゃっ」と悲鳴を上げて肩を跳ねさせた。 「えっ。どうした、どうした?」  まさか朝の挨拶でこんなにビックリされるとは思っていなかった仁子は、小さめのハンドバッグを自身の事務机引き出しに仕舞いながら、羽理の顔を覗き込んだ。 「あ、あのっ。実は……私……」  そうしてみたら、存外深刻そうな顔をして羽理がこちらを見詰めてきて。  仁子はごくりと生唾を飲み込んだ。  そう言えば、いつもならもう少し綺麗にゆるふわにセットされているはずの羽理の髪の毛。  それを束ねたシュシュが昨日と同じものなことに気が付いて、仁子は内心「ん?」と思った。  服こそ着替えてきているようだけれど、何か違和感がある。  羽理は華美なお洒落をする女性ではないけれど、髪飾りは結構沢山持っているみたいで……二日続けて同じヘアアクセサリーで出社してきたことはなかったように思ったからだ。  そう言えば、前にもこんなことがあった。あれは……。 「ねぇ羽理。もしかして……また裸男さんの家に泊まった?」  以前飲み会明けの日の羽理がこんなだったことを思い出した仁子は、本当に何の気なし。思いつくままにそう尋ねたのだけれど。  羽理は再度ビクッと肩を震わせると、「なっ、何で分かったのっ!?」と仁子の手をギュッと掴んできた。 「いや、だって……それ」  言って、握られていない方の手で自分の頭をチョンチョンと指さしてシュシュのことを示唆(しさ)すると、羽理がハッとしたようにそれに触れた。
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