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「……そんなに……分かり、やすい……?」
「分かりやすいも何も……。このところの羽理、裸男率高過ぎなんだもん。どんな男性かは知らないけど……その人と何かあるな?って思うのは普通でしょ?」
当然よ?とばかりにドヤ顔をされた羽理は、仁子の観察眼にただただ感服するばかり。
でもそれと同時。
屋久蓑部長が裸男だと言うのはバレていないと知って、ホッと胸を撫で下ろした。
「多分……気付かれてないと思ってるのは羽理だけよ? 倍相課長もこの前そのこと、しきりに気にしてらしたし」
「えっ」
「ほら、羽理がランチに行けなくて私と課長だけで行った日。羽理が泊まりに行った先の相手のこと、何か知らないか?って根掘り葉掘り尋問されたもん」
「尋問……」
聞かれた、じゃないところが何気に穏やかじゃないな?と思ってしまった羽理だ。
そんなに仕事へ支障をきたしている覚えはないのだけれど、もしかしたら指摘してこないだけで、倍相課長が陰で羽理の尻ぬぐいをして下さっているのだろうか?
だとしたら物凄く申し訳ないなと思って。
(あ……それでだ)
しきりに倍相岳斗が羽理を食事に誘いたがっていたのはきっと。その辺のことをやんわりと伝えたかったからに違いない。
(なのに私ったら)
先約だったとは言え、屋久蓑部長とのランチや買い物の約束を優先させて、倍相課長の誘いを一度ならず二度までも、無下に断ってしまった。
これは――。
(近いうちに穴埋めしなきゃまずい、よね?)
羽理は今度は自分から倍相課長を食事に誘おうと決意した。
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