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「部下に慕われてるのを知って、嫌な気持ちになる上司はいないと思うんだけどな? むしろ今の話を聞いて僕、可愛い部下たちのためなら、何でも出来ちゃえそうだなって……改めて実感しちゃったくらいだよ」
眉根を寄せられる覚悟もしていたというのに、予想に反して岳斗からニコッと極上のふんわりスマイルを向けられた羽理は、岳斗の背後にぱぁぁぁっとパステルカラーの柔らかな色合いの花々が一斉にほころぶ錯覚を覚えてしまう。
仁子から、「推し活、本人に公認してもらえてよかったね♪」とクスクス笑われた羽理は、ひとまずホッと胸を撫で下ろして。
それと同時、岳斗の〝何でも出来る〟と言う言葉に、〝至らない自分の尻ぬぐいをさせてしまっているかも?〟という問題を思い出して、(今日は無理だけど、後日にでも改める形で穴埋めのお誘いをするべきかしら?)と岳斗を見詰めた。
「あ」
「ねぇ、荒木さん。今日こそはずっと伸ばし伸ばしになっていたランチに行かない?」
明日にでも、と前置きをした上で岳斗をランチに誘おうと決意した羽理が口を開いたよりもわずかに早く。
出始めの〝あ〟に被せるようにして、岳斗からランチの提案されてしまった羽理は戸惑いに瞳を揺らせた。
「あ、あの……今日は……」
昨日の買い物で、大葉が新しく用意してくれた猫の絵柄の可愛いランチボックスと、同じく猫柄の保冷バッグに入れられた彼お手製のお弁当があるので、別日にして欲しいと告げようとしたのだけれど。
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