15.腹黒課長の猛攻

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(な、何でご存知なんですかっ!)  裸男というパワーワードが岳斗(がくと)の口から飛び出して、咄嗟(とっさ)のことにワタワタと慌てそうになったものの、実際に作ってくれたのは裸男の彼女さん――大葉(たいよう)の愛犬キュウリちゃん――ではなく、裸男自身だ。  大葉(たいよう)が聞いたら、「いや、俺の彼女はウリちゃんじゃなくてお前だろ!?」と憤慨しそうなことを思いつつ。  その差異に、(バレてない、よね?)と気付いた羽理(うり)は、ちょっとだけホッとする。  その上で、わざわざ裸男を持ち出されたことに疑念を(いだ)いた羽理は、「あ、あの……私、昨晩もよそ様へお泊りしたって……課長にお話しましたかね?」と瞳を泳がせながらも質問に質問で返すと言う卑怯な戦法に出た。  そうしながらも心の中、(そんな話より、早く仕事のことを指摘してくださいっ! あんまり部長のことを考えると心臓に悪いのでっ!)なんてことも思っていたりする。 「ううん。聞いてないよ? ただ――」  そこで羽理をじっと見つめると、岳斗がスッと手を伸ばしてきた。  真剣なまなざしとともにズンズン近付いてくる〝推し〟の手に、思わずじっと見入って。 (あ! 何かいいシーンがひらめきそうです!)  などとどうでもいいことを考えている羽理だったのだけれど。  キュッと柔らかく髪の毛に触れられた瞬間、身体にビリリ!と電撃が走った。 (よっしゃぁー! きたぁぁぁっ! ああ、今すぐ帰って『あ〜ん、課長っ♥ こんなところでそんなっ♥』の星特典を書き上げたい!)  羽理は、ウズウズとはやる気持ちを、お弁当箱と箸を握る手に力を込めてグッとこらえる。
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