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(ごめんなさい、課長。私、推しな貴方にそんな暗い顔させたくなかったから……病気のこと、話したくなかったんです)
そう思って鎮痛な面持ちのまま岳斗を見つめていたら、「――ねぇ、荒木さん。それ、法忍さんには……」と投げ掛けられて。
「まだ話してないんですけど……仁子からは相手が誰かまで言い当てられて……その上、不整脈のことも見抜かれました。もしかしたら……仁子には不治の病の正体が分かっているのかも知れません」
羽理の言葉に岳斗は何事かを考えているみたいに沈黙してしまう。
「あの……もしかして倍相課長にも、私のこの厄介な不整脈の原因や正式な病名なんかが思い当たったりしていますか?」
不安に耐えきれず、眉根を寄せて聞いたら、岳斗がポツンとつぶやいた。
「ひとつ確認なんだけど……荒木さんが一緒にいてしんどくなる相手は……もしかして裸男さん、だったりする?」
「えっ!? どうしてそれを……っ!?」
きっと鎌を掛けられただけなのに、思わず肯定するみたいなことを口走ってしまってから、慌てて口を覆ったけれど後の祭り。
「やっぱりそっか……」
言われて羽理はギュウッと箸を握りしめた。
「……だとしたら、僕は荒木さんにはそんな不誠実な男には近付かないようにして欲しいと助言したいな?」
「え?」
裸男が屋久蓑大葉だと言うことは、仁子でさえ気が付いていない。
なのに、そんな正体不明なはずの裸男のことを〝不誠実〟だと言い切る岳斗に、羽理は驚いてしまう。
「あのっ、もしかして課長……」
――裸男の正体がお分かりになられたんですか……?
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