15.腹黒課長の猛攻

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 そう問い掛けようとしたと同時、「だって相手には彼女さんがいるんでしょう? それなのに荒木(あらき)さんとも不必要に仲良くしようとしてるだなんて……僕には性質(たち)の悪い男としか思えない。そんな奴に大事な部下は任せられないよ」と岳斗(がくと)が続けて。  羽理(うり)は思わず大葉(たいよう)に対する課長からの誤解を解きたい一心で、「あ、あのっ。勘違いさせてしまっているようなんですけどっ。実は裸男さんの彼女さんはワンちゃんなんです! 人間の彼女さんじゃありません!」と力説してしまっていた。 ***  羽理(うり)から裸男の彼女は犬だと告白された岳斗(がくと)は、今度こそ本当に言葉に詰まって。 (え? 待って? どういうこと? 今の話が本当だとしたら……荒木(あらき)さんは独り暮らしの男の家へ何度もお泊りに行ってたってこと?)  着替えまで置いてあるとか……まるで恋人同士ではないか。  そうとしか思えないのに、羽理の口振りからは、まだ深い仲にはなっていないようにも感じられて……それが何とも()に落ちない岳斗だ。  こんな魅力的な女性を家に連れ込んでおいて何もしないとか……。実は裸男は男性的な機能が不全なんじゃないかと思ってしまった。  だが、羽理のことを手放したくないと言っている感じからして……相手も羽理のことを憎からず思っているのは確かだな?とも思って。  そう言えば、羽理が食べていた手の込んだ弁当だって、裸男とやらの恋人が作ったものではないとなると、もしや裸男自身のお手製?と気が付いた岳斗だ。
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