17.ちぐはぐな二人

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 柚子(ゆず)からの質問に対して即座に「当たり前だろ!」と答えた弟に対して、羽理(うり)大葉(たいよう)のその言葉が信じられないみたいに「えっ!?」とつぶやいて驚いた顔をするから。 (ちょっともう、この二人、何でこんなちぐはぐなの!)  どう考えても両想いにしか見えないのに、この認識の差!  目の前で「いや、俺、お前に好きだって言っただろ? なるべく一緒に過ごそうとも伝えたはずだぞ?」だの「確かに好きだとは言われましたけど、……一緒に過ごすのは病気を治すためだって言ったじゃないですかっ」だの不毛な言い合いが始まって。  柚子ははぁーっと大きく溜め息を落とさずにはいられない。  そんな自分を、『どうちまちたか?』と言う表情で見上げてくるキュウリをヨシヨシと撫でながら、 「たいちゃん……」  柚子が狙いを定めたのは羽理ではなく可愛い弟だった。 ***  わけが分からないことを言う羽理(うり)に色々言い募っていたら、姉が呆れたように声を掛けてきて。  その途端、羽理が柚子(ゆず)の存在を思い出したようにハッとして口をつぐんでしまう。  仕方なく大葉(たいよう)が柚子の方を見ると、「貴方ねぇ、羽理ちゃんに『好きです、下さい』ってちゃんと伝えたの?」と言われてグッと言葉に詰まった。  言われてみればそんなセリフは言っていなかった気がしたからだ。 「やっぱり……」  はぁーとあからさまに溜め息を()く柚子に、大葉(たいよう)は「けど! 普通好きだって言ってきた男に一緒にいたいって言われたら〝俺の彼女になってくれ〟って意味に取るだろ!?」と言い募ったのだけれど。 「貴方の言う普通が通じなかった結果が〝今〟なんじゃないの?」  と言われてしまっては、二の句が継げないではないか。
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