17.ちぐはぐな二人

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「あの……た、大葉(たいよう)は……その、わ、私と付き合ってるつもり、だった……の?」  恐る恐るといった調子で羽理(うり)から問われた大葉(たいよう)は、視線を柚子(ゆず)から隣の羽理に移した。 「ああ」  と照れ臭さも手伝ってぶっきら棒に肯定してみたものの、柚子からの視線が全身に突き刺さってくるようで、何だか居心地が悪い。 (ちゃんと『付き合ってくれ』って……言えってこと、だよ、な?)  そう思いはするけれど、身内(あね)の前で異性を口説くだなんて恥ずかしい真似、出来るはずがない。 「……大葉(たいよう)?」 「たいちゃんっ!」  女性陣二人の視線が物凄く痛くて、針の(むしろ)状態だ。  加えて。 (う、ウリちゃんまで何でそんな目でパパを見詰めてきまちゅかねっ!?)  真ん丸な愛犬キュウリの黒瞳が、柚子のひざの上から『パパ、しっかりして下ちゃい』と言わんばかりに大葉(たいよう)をじっと凝視してくるから。 「あああああっ!」  大葉(たいよう)はとうとう重圧に耐えきれなくなってガシガシと頭を掻きむしると、その場に立ち上がった。  そうして――。 「柚子、ウリちゃんを頼む。……羽理と二人きりで話がしたい」  すぐ横でキョトンと自分を見上げてくる羽理の腕を引いて立たせると、「今夜は帰らねぇから」と付け加えて「羽理、行くぞ」とやや強引に羽理の手を引いて歩き出す。  柚子に出鼻(でばな)をくじかれて伝え損ねていたが、元々羽理がこちらに飛ばされてきた時から、柚子にキュウリを任せて羽理の家へ泊まりに行こうと思っていた大葉(たいよう)だ。  羽理に昼間何をしていたのか?とか……聞きたいことが山盛りだったし、実際そういう諸々(もろもろ)も告白と同じくらい姉の前では切り出しづらい。 「あ、あのっ、大葉(たいよう)……っ」  オロオロと大葉(たいよう)の名を呼ぶ羽理に、「下着なしのまんまはしんどいだろ。お前ん()行くぞ」と吐き捨てたのだけれど。
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