18.飛ばしすぎ?

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 羽理(うり)を茹でダコみたいに真っ赤にしてしまっているのは、きっと自分に他ならないんだと思うと愛しさが五割増し、いや百倍増しになるなとニマニマが止まらなくなってしまった大葉(たいよう)だ。 「あ、あのっ、……う、腕を……」  放して欲しいと、消え入りそうな声音でゴニョゴニョ訴えてくる羽理を、わざとギュゥッと腕の中に一層強く抱き込んで。 「なぁ、羽理。ひょっとしてお前、今、すっげぇ心臓バクバクしてる?」  分かっていて意地悪く問い掛ければ、コクコクと必死にうなずいてくる。 「そっか……」  大葉(たいよう)は小さく吐息を落とすと、「俺もだ」と同意して、羽理(うり)の耳を自分の胸元に押し当てさせた。 「――な?」 「だ、だったら……」  なおのこと離れましょうと言いたげな羽理をじっと見下ろして、大葉(たいよう)はふっと柔らかく微笑んだ。 「はぅっ」  途端腕の中の羽理が心臓を撃ち抜かれたみたいに小さく悲鳴を上げるから。  その反応を確認した大葉(たいよう)は腕の力を少しだけ緩めると、ゆっくりと噛んで含めるように言葉を(つむ)いだ。 「お前のそれな、病気とかじゃねぇから」 「えっ?」 「恋愛もの書いてるんなら知識くらいあんだろ。――恋のときめきってやつ」 「こ、いの……とき、めき?」 「ああ。何か気付いてないみてぇなのがめっちゃムカつくんだがな。――羽理、お前は、胸がざわついて苦しくなっちまうくらい俺のことが好きなんだよ」  自分も同じだから分かると続けたら、羽理が瞳を見開いた。 「いい加減、自覚してくれ」
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