19.僕じゃダメかな?

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「だって……お客さんが来ることなんて滅多にないんですもの」 「にしても、だ。気ぃ抜き過ぎだろ」  会社では凛とした美人……と言った様相の羽理(うり)なのに、家での脱力っぷりは凄くて。  こんな風に持ち物にもそういうのが出てしまっているのが、実は大葉(たいよう)的にはたまらなくツボなのだ。  だが、何となくそれを目の前の倍相(ばいしょう)岳斗(がくと)には気付かれたくないと思っていたりする。  それでつい、小姑(こじゅうと)のようになってしまったのだけれど――。  それに気付いているのかいないのか。 「荒木(あらき)さんは本当に猫グッズがお好きですよね」  オッドアイの白猫が描かれたカップに優雅に口を付けながら、岳斗(がくと)がのほほんとした雰囲気で言って。  目つきの悪い不良っぽい黒猫が描かれたカップを手にしたまま大葉(たいよう)がそんな岳斗の真意を探るみたいにじっと彼を見詰めた。  ふわふわのペルシャ猫が仰向けに寝っ転がったマグを両手で包み込むようにしてそんな二人を交互に見遣りながら、羽理は何となくピリピリした空気を感じて落ち着かない。 「僕はがどんなカップでおもてなししてくれても気にしませんよ?」  ふふっと笑って「屋久蓑(やくみの)部長はお家でも厳しいですね~」と付け加えた岳斗からは、大葉(たいよう)への牽制(けんせい)っぷりがありありとにじみ出ていて。 「ま、羽理はすぐにから関係ねぇけどな」  大葉(たいよう)の返しもまた、それに勝るとも劣らないブリザードっぷりだった。
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