19.僕じゃダメかな?

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***  大葉(たいよう)の、本気の(おど)しがきいたんだろうか。  あのやり取りの後、岳斗(がくと)はやけにあっさりと立ち上がって。 「じゃあ、僕、そろそろ帰りますね」  そう言ってどこか(うれ)いを帯びた表情で微笑んだ。  そうして玄関を出る間際(まぎわ)、「あのっ! い、色々ありましたけど……僕はに敵意はありませんのでそこだけは誤解しないで頂きたいです。それから……お役に立てるかどうかは分かりませんが、困ったことがあったらいつでも相談して下さい。お力添えいたします。……あ、もちろん羽理(うり)ちゃんも」と、まるで今までは最優先事項だったはずの羽理へ愛想笑いをするから。  後に残された羽理(うり)とふたり。  大葉(たいよう)は岳斗の余りの変わり身に戸惑わずにはいられなかったのだが。 「うー。何だかモヤッとします。倍相(ばいしょう)課長ってば、まるで大葉(たいよう)に恋しちゃってるみたいなんですもん」  羽理が唇を(とが)らせてポツンとそんなことを言うから、思わず「はぁっ!?」と()頓狂(とんきょう)な声を上げてしまっていた。 「い、いや……どう考えてもそりゃねぇだろ」  大葉(たいよう)の言葉に、羽理は「え? ありますよ! あの表情は絶対フォーリンラブですもん! 気付けなかったとしたら……大葉(たいよう)が鈍すぎるからです!」とか。 「いや、お前がそれを言うか!?」  今まで散々頑張ってきた自分のアプローチを羽理に(そで)にされまくってきた大葉(たいよう)が、思わずそう返したのも無理はない。 (そもそも男同士でそんな……。俺もアイツもノーマルだぞ!?)  つい今し方まで自分と岳斗が、羽理を巡って火花バチバチだったことを、羽理だって知っているだろうに。  大葉(たいよう)は、何をバカげたことを……と、思わずにはいられなかった。 --------------------- 昨日なんですけど、ふと思いついてスター特典を1つ追加しています。 1555ece4-c465-4e45-80f9-f1d910a140cc https://estar.jp/extra_novels/26208052 もしよろしければお暇つぶしにでも♥
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