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大葉はその初々しさに、羽理のことを胸が苦しくなるくらいに好きだ!と再認識して。
「羽理! 何で俺はお前がこんなに可愛くて堪んないんだろうな……!?」
私に聞かれても困りますっ!と返されかねない気持ちを、もどかしさごと言葉に乗せた大葉は、羽理を抱き起こして衝動のままに腕の中へ閉じ込めた。
「あ、あのっ。あのっ……」
突然の大葉の暴挙に真っ赤になってあわあわする羽理の唇に、もう一度だけ――。
そこだけは丁寧な動きでゆっくりと……。
大葉はその温かさと柔らかさを堪能するみたいに真心を込めて口付けを落とした。
さっきまでのついばむみたいなキスとは違って、重ね合わせたまま離される気配のない唇に、羽理がたまらずちょっとだけイヤイヤをして「ふ、ぁっ」と呼気を落とした瞬間、無防備に開かれた羽理の唇の隙間へスルリと舌を差し込んだ大葉だ。
「ひゃ、んっ……」
そのことに驚いたように慄いて縮こまる羽理の舌先が可愛くて堪らなくて、じゃれるみたいに二度三度、軽くくすぐるだけの軽めのフレンチキスをする。
唇を離す時、名残惜しさにわざとペロリと羽理の小さな唇を舐めてやれば、羽理が呆然とした様子で大葉を見詰めてきた。
「――羽理?」
余りにぼんやりした様子の羽理を心配した大葉が「大丈夫か?」と、問い掛けたと同時。
「わ、私、……大人のキシュ、初めてしましら……」
と、羽理がどこかうっとりとした舌っ足らずな口調で言うから。
大葉は思わず手のひらで顔を覆って、(頼むからこれ以上俺を煽らないでくれ!)と、心の中、グッと理性を総動員して懇願せずにはいられなかった。
そうしておいて、これはもう無理だな?と早々に白旗を上げて……。
「なぁ、羽理、お願い? このまま……抱かせて?」
羽理を片腕で抱きしめたまま、自身の顔を覆っていた手を移動させた大葉は、愛しい彼女の頬から首筋に向けて意味深に指先をツツツツッ……と滑らせた……。
それがたまらないと言わんばかり。
「やぁ、んっ」
何とも可愛らしい声を上げて、くすぐったそうに羽理が身体を縮こまらせるから。
大葉は早くさっきの問いへの返事を頂戴?と言わんばかりに「ねぇ、羽理。いいって言ってくれるだろ?」と畳み掛けた。
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