20.お願い、抱かせて?*

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 羽理(うり)は、まるで自分を食べ尽くさんとするみたいに口の中を這いまわる大葉(たいよう)(ぬめ)らかな舌の動きに翻弄(ほんろう)されて、合間合間で必死に空気を求めて唇を(あえ)がせるので精一杯。 「や、ぁんっ、は、ぁっ、んっ、……ふ、ぁっ」  それだけでも堪らないのに、大葉(たいよう)の、自分のものより大きくて分厚い舌全体で口蓋(こうがい)をぬるんっと舐められた瞬間、今まで味わったことのない快感が脳天を突き抜けて……。  羽理は瞳に涙を滲ませて、小刻みに身体を震わせた。  それと同時。  下腹部、子宮の辺りがキュゥッと(うず)いて、トロリと温かな蜜が溢れ出して下着を濡らしたのを感じた羽理は、戸惑いにモジモジと太ももをすり合わせた。  羽理の反応に気付いた大葉(たいよう)が、そこばかりを執拗(しつよう)に攻めてくるから。  羽理は「もうダメ。お願いやめて?」と言う意思を込めて両掌(りょうてのひら)大葉(たいよう)の胸を必死にパシパシと叩いた。  その思いが通じたのだろうか。  大葉(たいよう)がやっと羽理の唇を解放してくれて。  激しい口付けで濡れてしまった口の端の唾液を指の腹で優しく(ぬぐ)ってくれる。 「羽理、俺の〝抱きたい〟はこういう意味なんだけど……理解出来たか?」  そうして胸に添えられたままの羽理の小さな手を(とら)えると、そのまま自分の下腹部へと導く。  羽理はその行動の意味が分からなかったのだけれど。  手のひらに布越し。熱くて固い感触を感じた瞬間『えっ!?』と思って。 「大葉(たいよう)のおちんちん、(おっ)きくなってる……?」  日頃は決して口にしないようなを思わずつぶやいていた。 ***  まさか愛らしい羽理(うり)の口からそんな言葉が出るとは思っていなかった大葉(たいよう)は、羽理が発した陰茎の幼児語にノックアウトされてしまった。  お陰様と言うべきか。それでなくても臨戦態勢な愚息が、「なぁ、もういっちゃおうぜ、相棒!」と、痛いくらいに(たかぶ)って大葉(たいよう)(そそのか)しにかかる。  そういえば、羽理はもともと何かに没頭し過ぎると変なことを口走るところがあったなと思い出した大葉(たいよう)だ。  そう、例えば――。
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