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「あっ、あのっ。いっ、いっ、今の私の発言っ! キッチリサッパリ忘れて下さいっ! たっ、大葉がっ、いっ、いきなりそんなところを触らせるからっ……私っ、びっくりしてっ!」
真っ赤な顔をした羽理が、小さい「っ」が沢山見えそうなくらい促音祭りでオロオロと言い募るのを見ながら、大葉は(あれは何て言葉だったかな?)と記憶の糸を手繰り寄せる。
そんな大葉の腕の中。パニック状態の羽理が、「だっ、だって……そんな〝ご立派さん〟な〝ビッグマグナム〟を触らされたらっ。だっ、誰だってテンパっちゃうに決まってるじゃないですかぁっ!」とか付け加えてくるから……。
大葉は(そう! まさにソレだ!)と思ってしまった。
気のせいでなければ、大葉は今までも羽理が何度か自分の股間を見て、それらの単語を使ったところに居合わせた気がする。
まぁ要するに――。
「なぁ、羽理。それって……褒め言葉だと受け取っていいんだよな?」
そう解釈した。
小さいより大きいと評される方が何となく嬉しい。
男にとって、ソコはそういう象徴なのだから。
***
「ほっ、褒めっ……!? って、えっ!?」
羽理が、誇らしげな様子でグイッと身を乗り出してきた大葉にたじろいだのは言うまでもない。
(わ、私っ、そんなつもりは微塵もっ!)
大葉からの「抱いていい?」という問い掛けにゴーサインを出した覚えだってないのだ。
それこそ〝ご立派さん〟をいきなり握らされて、『めっちゃ大きい(気が致します。けど、すみません! 貴方のしか知らないので、比較対象はありません!)』と率直な感想を述べただけなのに、色気駄々洩れな大葉から、当然のようにベッドへ押し倒されてしまった。
羽理は余りの急展開に頭がまともに機能しなくて、眼前の大葉を見返すのすら恥ずかしくて――。
戸惑いを体現するように、落ち着きなく視線をふわふわと彷徨わせる羽目になった。
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