20.お願い、抱かせて?*

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「あっ、あのっ。いっ、いっ、今の私の発言っ! キッチリサッパリ忘れて下さいっ! たっ、大葉(たいよう)がっ、いっ、いきなりそんなところを触らせるからっ……私っ、びっくりしてっ!」  真っ赤な顔をした羽理(うり)が、小さい「っ」が沢山見えそうなくらい促音(そくおん)祭りでオロオロと言い募るのを見ながら、大葉(たいよう)は(あれは何て言葉だったかな?)と記憶の糸を手繰(たぐ)り寄せる。  そんな大葉(たいよう)の腕の中。パニック状態の羽理が、「だっ、だって……そんな〝ご立派さん〟な〝ビッグマグナム〟を触らされたらっ。だっ、誰だってテンパっちゃうに決まってるじゃないですかぁっ!」とか付け加えてくるから……。  大葉(たいよう)は(そう! まさにソレだ!)と思ってしまった。  気のせいでなければ、大葉(たいよう)は今までも羽理が何度か自分の股間を見て、それらの単語を使ったところに居合わせた気がする。  まぁ要するに――。 「なぁ、羽理。それって……褒め言葉だと受け取っていいんだよな?」  そう解釈した。  小さいより大きいと評される方が何となく嬉しい。  男にとって、ソコはそういう象徴なのだから。 *** 「ほっ、褒めっ……!? って、えっ!?」  羽理(うり)が、でグイッと身を乗り出してきた大葉(たいよう)にたじろいだのは言うまでもない。 (わ、私っ、そんなつもりは微塵もっ!)  大葉(たいよう)からの「抱いていい?」という問い掛けにゴーサインを出した覚えだってないのだ。  それこそ〝ご立派さん〟をいきなり握らされて、『めっちゃ大きい(気が致します。けど、すみません! 貴方のしか知らないので、比較対象はありません!)』と率直な感想を述べただけなのに、色気駄々洩(だだも)れな大葉(たいよう)から、当然のようにベッドへ押し倒されてしまった。  羽理は余りの急展開に頭がまともに機能しなくて、眼前の大葉(たいよう)を見返すのすら恥ずかしくて――。  戸惑いを体現するように、落ち着きなく視線をふわふわと彷徨(さまよ)わせる羽目になった。
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