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自分で心配しておいて何だけど、こんな風に用意周到にスキンを準備されていたと言われたら、羽理はにわかに落ち着かなくなってしまった。
「た、大葉の……エッチっ!」
思わず照れをそのまま口の端に乗せたらククッと笑われた。
「好きな女が自分に振り向いてくれたらチャンスをものにしたいって思うのは当然だろ? 機会なんざ、いつ来るか分かんねぇし……備えは重要だ」
そういえば今日、大葉は姉の柚子に、羽理が思うよりも前から羽理と付き合っていたつもりだったと話して呆れられていた。
大葉が、以前から自分と恋人同士という心積もりだったのなら、そう言う支度をしていたことも、確かに納得出来る。
そう思い至ったと同時、持たれたままだった手をそっとベッドへ縫い留められた羽理は、瞳を見開かずにはいられなくて。
「そんなわけで……続き、していい?」
聞き方こそ疑問形だけど、続きをするのは大葉の中では決定事項らしい。
「あ、あのっ」
羽理が何とか現状を打開しようと口を開いたら、好機とばかりにディープキスで塞がれた。
「ぁ、んっ……ぁ」
それだけならまだしも、キスに翻弄されている内にいつの間にかパーカーのファスナーを全開にされていて。
下に着ている下着同然の白いカップ付きキャミソールを露わにされた羽理は、一気に防御力を失った気がしてソワソワせずにはいられない。
「羽理……」
口付けを解いた大葉が、熱い眼差しでこちらを見下ろしてくるのが堪らなく恥ずかしくて。
「ヤダぁ、大葉。触らない、で……? 私のお胸、ちっさくてガッカリさせちゃう、から!」
この期に及んで柚子のたわわなおっぱいが頭に思い浮かんだ羽理は、寝そべってさらに起伏をなくした自分の胸に劣等感を抱いた。
「バーカ。前にも言っただろ? 羽理の胸、すげぇ好みだって」
実際何度も見られているのだから、今更だと言うのは羽理にも分かっている。
「自信持てよ」
「けどっ」
それでも触れられるとなるとやはり抵抗があったから。
懸命に拘束されていない方の手で、胸元へ伸ばされる大葉の手を掴まえようと頑張った羽理だったのだけれど。
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※色々ありまして、大葉の姉・寧葵姉の名前を柚子に変更しました。
経緯につきましてはエッセイ
https://estar.jp/novels/26179568/viewer?page=200
にて。
↑ちょっとしたお願い事も添えています💦
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