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「羽理、それ、本気で言ってるのか? まだ始まったばかりだぞ?」
なのに羽理の必死の訴えに、大葉は羽理の胸から顔を上げるなり不適に微笑むのだ。
普段は基本ヘタレで羽理の言うことを結構通してくれる大葉なのに、どうやらベッドに上がると人格が変わってしまうらしい。
羽理は「大葉の鬼ぃ、悪魔ぁ、絶倫!」と思い付く限りの〝悪口〟を言い募ったのだけれど。
「いや、まだ俺、お前にそれ系の能力、お披露目してねぇんだけど」
一瞬驚いたように瞳を見開いた大葉に、次の瞬間ククッと笑われてしまった。
「それ系の能力って……? え……?」
テンパるあまり自分が何を口走ったのか、実はよく分かっていなかった羽理は、大葉の言葉にキョトンとして小首を傾げた。
「なぁ、羽理。一応確認なんだけど……お前が思う〝絶倫〟って一晩に何回ぐらいデキる男のこと?」
意地悪く瞳を眇めた大葉に、スッと耳元へ唇を寄せてそう問われてやっと――。
羽理は、自分がとんでもない地雷を踏んだのだと気付かされた。
だが、言うまでもなく後の祭りで。
「ちなみに俺としちゃあ……。そうだな……」
そこでリビングの一角に置かれた自分の荷物へふっと視線を向けた大葉に、羽理は言いようのない不安を覚える。
「鞄の中に一箱、これと同じやつが入った真新しいゴムのパッケージがあるから。お前が望むならそれも全部使ったとして、マックスで六回までなら付き合ってやれるぞ?」
「ろ、六回っ!?」
「なんだ、少なかったか」
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