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羽理の顔のすぐ横へついた腕に、筋が浮くほど力が入ってしまったのはきっとそのせいだ。
全身に力を入れてしまっているからだろう。あごを伝った汗が、ポタリと羽理の魅惑的な胸の上へ落ちる。
それを感じた羽理が、恐る恐る大葉の頬へ手を伸ばしてきた。
まるで母親が我が子を慈しむように、羽理の小さな手指で顔の輪郭をスリスリと撫でられた大葉は、それだけで羽理のことを死ぬほど愛しく感じて。
「いや、俺は……気持ちい、だけ……だからっ。……羽理こそ、平気、かっ?」
頬へ触れる羽理の手を取って、指先をしゃぶるように口付けたら、ちょっぴり塩辛い自分の汗の味がした。
「ん、平気……」
羽理はくすぐったそうに手指を縮こめると、大葉をじっと見上げながらモジモジと恥ずかしそうに付け加えてくるのだ。
「だから……ね、大葉。……その……もぉ、動いて……いい、よ?」
「羽理っ!」
「ひゃ、あぁっ……!?」
羽理からのゴーサインを皮切りに、大葉のタガが外れた。
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