22.朝チュンではないけれど

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 明朝――。  羽理(うり)より早く目覚めた大葉(たいよう)は、腕の中に閉じ込めるようにして寝かしつけた羽理の下からそっと腕を抜くと、ベッドからソロリと起き上がったのだけれど。  その気配に寝ぼけた羽理が「ふぇ? 今日(きょぉ)はオムライシュれすか?」と寝言を言ったのを聞いて、思わず瞳を見開いた。  羽理の身体のあちこちに刻んだ情事の痕跡は、羽理が気を失った後、きつめに絞った温かなタオルであらかた拭いて綺麗にしてやっていたが、出来れば風呂へ入れるようにしておいてやりたい。  初体験だった羽理は、わずかではあったけれどしっかり出血もしていたから。  ついでにシーツも洗わないといけないだろう。  自分の家ではないので不慣れではあるけれど、幸い羽理の部屋の給湯システムは、それほど難しいものではなかったから。  大葉(たいよう)は湯張りのスイッチを押して浴槽に湯を溜めながら、自分はササッとシャワーを浴びて着替えを済ませた。  身体を拭きながらふと洗面所の鏡を見やれば、胸に羽理が引っ掻いたと(おぼ)しき傷が幾筋か残っていて。それだけで何だかニマニマと口元が緩んでしまう。  頭を三毛柄のタオルでワシワシ拭きながらベッドへ戻ってみれば、羽理がふにゃっとした顔をして、「ケチャップれ、……猫しゃん、描いてくら、しゃい……」とかつぶやくから。  大葉(たいよう)は、起き抜けに羽理が言っていた寝言を思い出した。 (こいつ、夢ン中でオムライスにケチャップでも掛けてんのか?)  もうそれだけで、冷凍して弁当用に持って来ていたチキンライスを朝食に回そう!……と、大葉(たいよう)の中で朝の段取りが組み立ってしまう。
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