22.朝チュンではないけれど

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 昨夜大葉(たいよう)がこの家に持ち込んだ荷物は、大半が作り置きの食べ物で。  冷凍ものに関してはほぼ空っぽだった冷蔵庫の冷凍室へ入れさせてもらっている。  そのついで。この家の食料品ストック事情も把握させてもらった大葉(たいよう)は知っている。    幸いと言うべきか。卵だけは潤沢にあって、弁当用の玉子焼きにも朝食用のオムライスにも問題はないことを。 (昨日もらってきたサツマイモは大学芋にして弁当に入れるのもありだな)  自宅でならバターや牛乳、豚ひき肉なんかを使ってホワイトソース仕立てのミニグラタンにすることも可能だったのだが、それに関してはまぁ、今度家で作って弁当用に小分け冷凍しておいても良い。  今日はとにかく慣れない羽理(うり)の家で、目に付くあり合わせの材料や調味料で手早く料理しなくてはいけないから、作る料理はなるべく一品一品の材料が少なめの方がいいだろう、と大葉(たいよう)は作業工程にあらかたの目星をつけた。  あれでも……と家から持ってきた米二合をササッと研いで炊飯器にセットしてから、(米、持って来といて正解だったな)と思う。  と言うのも、昨夜夕飯のため米を所望した大葉(たいよう)に、羽理が申し訳なさそうに「ごめんなさい。今、切らしています」と言ったからだ。  ――ちょっと待て、米がないだと!? お前、普段何を食って生きてるんだ!と思った大葉(たいよう)だったけれど、棚の中にカップ麺やシンプルな焼菓子(ショートブレッド)タイプの栄養補助食品、お握り一個分のカロリーが手軽に摂取できると言う触れ込みのゼリー飲料なんかがワチャッとストックしてあるのを見て、小さく吐息を落とした。
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