22.朝チュンではないけれど

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 それでも辛うじて食パンが二枚あったから。  昨夜はそれに弁当用として持って来ていた冷凍ナポリタンを乗っけてとろけるチーズをトッピングした後にトーストして夕飯にしたのだけれど。  お陰様で今朝はパンすらないという状況になってしまった荒木家(あらきけ)なのだ。  大葉(たいよう)が、『これからは俺が一生! 羽理に栄養バランスの取れた美味(うま)食事(めし)を食わしてやろうじゃねぇか!』と意気込んでしまったのは当然と言えた。 *** (そーいや、昨夜は結局ケーキ食わずに寝ちまったな)  寝ようとしたら〝あんなこと〟になってしまったのだが。  羽理(うり)の愛らしい痴態の数々を思い出して思わず緩みそうになった頬をグッと引き締めつつ冷蔵庫の中を見やれば、倍相(ばいしょう)岳斗(がくと)が持ってきたケーキが入っているのが目に付いた。  朝っぱらからケーキはどうかと思うが、傷む前に食べたほうがいいだろう。 (朝食はオムライスとケーキだな)  何とも妙な組み合わせだが、まぁたまにはいい。  何せ、昨夜は羽理にたくさん無理をさせてしまったのだ。  ゴムこそひとつしか使わなかったが、今日くらいは頑張って自分を受け入れてくれた羽理に、ご褒美があってもいいと思ってしまった。
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