22.朝チュンではないけれど

5/21

1986人が本棚に入れています
本棚に追加
/440ページ
***  羽理(うり)が目覚めると、大葉(たいよう)の姿はすでにリビングにはなくて……。  ハッとして起き上がった羽理は、小さく悲鳴を上げてうずくまった。 「……っ!」 (イタたたた……)  まだ股の間に何やら挟まっているような……何とも言えない違和感があって、大葉(たいよう)を受け入れたアソコの辺りが擦り傷でも負いましたかね!?と言わんばかりにヒリヒリと痛んだ。 (おしっこ、沁みちゃいそう……)  そればかりか、腰にはズキズキとした疼痛がある上、足の付け根は情けないくらいの筋肉痛。  オマケにはらりと布団がはがれて気が付いたけれど、スッポンポンのままではないか。 (やーん、恥ずかしいっ)  きゅーっと身体を縮こまらせてソワソワと視線を転じた先。  すりガラスの向こう側からキッチンを使っていると(おぼ)しき音が聞こえてきた。 (大葉(たいよう)……?)  羽理(うり)は半ば無意識に唇へそっと触れると、昨夜のあれこれを思い出して頬をポッと赤く染めた。  ふと見下ろせば、いつの間に付けられたんだろう?  胸のあちこちに、まるで所有痕ででもあるかのように沢山の鬱血痕(キスマーク)が散らされていた。 (ひゃー、ひゃー、ひゃー!)  そう。昨夜のアレコレは夢なんかじゃない。  羽理は、大葉(たいよう)とエッチなことをしたのだ。  身体が訴えてくる不調や違和感は、全てそのせいで……。 (痛かったぁぁぁ……!)  初めてだったからだろうか。  大葉(たいよう)は、羽理が弱音を吐くくらい沢山ほぐしてくれたのに、彼を受け入れた瞬間の引き裂かれるような下腹部の痛みは、思わず泣いてしまうくらいに痛烈だった。  だけど――。  それを乗り越えた先。  愛しい人とひとつになれた喜びは、何ものにも代え難いものがあった。  大葉(たいよう)がくれる大人のキスは、身体の奥底がムズムズしてしまうくらい気持ちよかったし、胸に触れられるのも、信じられないくらいゾクゾクして心地よかった。
/440ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1986人が本棚に入れています
本棚に追加