22.朝チュンではないけれど

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大葉(たいよう)の大きな舌で、ベロとか口の中コショコショされるの……何かくすぐったくてムズムズした……)  触れられたのは口なのに、下腹部がキュンと(うず)くような何とも言えない不思議な感覚で、気が付けば羽理(うり)は足をもじもじと擦り合わせていた。  心臓バクバクジェットコースターも、キュンと甘く締め付けられるような下腹部の反応も、大葉(たいよう)と経験したんだと思ったら、何だか嬉しくて照れ臭い。  結果――。 (私っ! ホントに大葉(たいよう)と、最後までしちゃったんだぁ~!)  なんてことを激しく実感してしまって。 (夏乃トマト! 作品の描写に深みが増しそうですっ!)  そう宣言して、布団を頭から被って心の中でキャーキャー悲鳴を上げながら(もだ)えていたら、盛大にゴン!と壁に頭を打ち付けてしまった。 「はぅっ!」  予期せぬ痛みに、今度こそしっかり声を出してしまった羽理だったのだけれど。 「どうしたっ!?」  当然と言うべきか。  大葉(たいよう)がフライ返しを手にしたまま寝室へ飛び込んできた。 ***  チキンライスの上に乗っけるフワとろ卵を焼いていたら、隣室からゴン!という音が響いてきた。  それと同時、「はぅ!」とうめき声が聞こえて来て、大葉(たいよう)は慌てて火を止めて仕切り戸を開けたのだけれど。  見れば、ベッドの上に布団をかぶったお化け――ではなく羽理(うり)がいて――。「どうしたっ!?」と声を掛けながらも心の中、『何をやってるんだ、こいつは! くっそじゃねぇか!』と、他者からすればちょっぴりズレたことを思わずにはいられない。
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