23.もしかしてこのせい?

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「だよな? だから……俺が病院へ連れてった後でそっちに連れて行くから大丈夫だって話しちまった」 「え?」  言われて、羽理(うり)は思わずキョトンとしてしまう。  それはつまり……。 「大葉(たいよう)も、有給とか取って……辻褄(つじつま)合わせをするってことですか?」  さすがに本気で病院へ連れて行くつもりはないだろうから、単なる時間潰しに他ならないだろう。 「ほんの一時間ほどな」  元々クソ真面目な大葉(たいよう)は、有給休暇を全くと言っていいほど使っていないのだとか。  だから、昨日に続いて気が引けたのだが、恐る恐る社長に打診したら、二つ返事でOKが出たらしい。  それを聞いた羽理は、すぐさま思ったのだ。 「大葉(たいよう)、社長と直接お話出来たりするんですね。やっぱり腐っても部長様なんだ!って今更のように実感しました!」 「……勝手に腐らせるなよ」  羽理は、土恵(つちけい)商事に勤め始めて二年ちょっとになるけれど、社長と一対一でマトモに会話したことなんて皆無なのだ。  せいぜい社内ですれ違った際に、挨拶する程度。 「だってホントに意外だったんですもん!」  変な所に感心してしまって、大葉(たいよう)から「お前、俺の評価が低すぎないか?」と睨まれてしまった。 *** 「えっと……大葉(たいよう)のお家に持って行くものって、お財布と携帯くらいで大丈夫ですかね?」 「充電器と着替えも何着か持っとけ。もちろん下着や寝間着もだぞ?」  言ったら、「えっ?」と言われて。 「そんな調子で、一人で飯とか風呂の支度(したく)とか出来るのか?」  柔らかな羽理(うり)の頬を両手のひらで挟み込んで、顔を上向かせて問い掛けたら、「……多分……無理、です……ね」と、羽理が不服げに大葉(たいよう)を見上げてくる。
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