3.半裸・ノーブラ会議

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 思わず口を突いて出たのは心裏腹。 「せ、セクハラです!」  と言う言葉で。  上司が部下にそう言うことを聞くのは、確か言われた側がそう感じたならばセクシャルハラスメント扱いになるはずだ。  屋久蓑(やくみの)大葉(たいよう)の厚い胸板と、飾りのようにチョンとついた、やけに色気の感じられる乳首をチラチラ見ながら。  羽理(うり)は変に意識して頬が赤らみそうになるのを、セクハラと言う言葉で必死に誤魔化した。  なのに、すぐさま「……お前が俺にそれを言うか?」と(あき)れ顔で切り返されては、さすがの羽理も押し黙るしかないではないか。  確かに部長の股間事情とか色々聞いた上に、やたらエッチな目で部長の〝()っぱい〟を見詰めてしまった自分の方がよっぽどアウトかも知れない。 「……前言撤回します、すみません」 「分かったんならよろしい。あー、あと……誤解してるようだから一応弁解させてもらうがな、俺が言いたかったのはつまり、彼氏の泊まり用に男物の服とか置いてないのか?ってことなんだが」  言われて、羽理は(ああ、なるほど!)と思った。  その上で、思わずやや食い気味。 「あったら着ちゃうんですか?」  尋ねたら、「いや、普通に考えて着れるもんがあるなら着るのが正解だろーが」と睨まれてしまう。 (えー。隠しちゃうだなんてもったいないです! もう少し見てたいです、部長の半裸(おからだ)!)  そう付け加えそうになっただなんて言ったら、今度こそセクハラ女だと訴えられそうなので、羽理は黙っておいた。  けれど心底ガッカリしたのは見抜かれたらしい。
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