24.スーツを着た理由

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***  大葉(たいよう)が経理課・庶務課のある四階フロアに入ると、あちらこちらから「おはようございます」と言う声が掛かった。  それに「ああ、おはよう」と何気なく返しながら、ハッとした大葉(たいよう)だ。  考えてみれば今まで気付いていなかっただけで、こんな風に挨拶をしてくれた面々の中にはきっと羽理(うり)もいたんだろうな?と思うと、(つと)めて皆の顔を見て挨拶せねば……と身につまされる気持ちがして。 (俺、……ホントみんなと一線引くような接し方してたんだな)  女性社員らから迫られることに辟易(へきえき)していたからと言って、多くの部下たちとの関わりをシャットアウトするようなことを、同一線上で考えてはいけないはずだったのに。  羽理と風呂で初めて対面した時、羽理は大葉(たいよう)が自社の部長だとすぐ気が付いたのに、自分は目の前の女性が(おの)れの管轄する財務経理課の人間だと気付けなかったのは、つまりはそういうことだったんだろう。  ふと見まわした先、羽理の席の隣に今朝電話で話した相手――法忍(ほうにん)仁子(じんこ)の姿を認めた大葉(たいよう)は、周りには分からない程度に彼女にだけアイコンタクトを取った。  社長との用事を済ませたら、約束通り法忍(ほうにん)さんには羽理と話す機会を設けてやらねばと思いつつ。 (いや、その前に俺からもちゃんと羽理とのこと、話さねぇとな)  何しろ勢いに任せてプロポーズのことも話してしまったのだ。  そこは倍相(ばいしょう)岳斗(がくと)には話していないところだ。 --------------------- 昨日ですが、スター特典『花粉症デビュー』 1bf0ed54-dbbc-483a-98a7-5ce3dea739ab https://estar.jp/extra_novels/26222456 をupしました。 例によってくだらないお話(爆)ですが、もしよろしければ❤️ 鷹槻(たかつき)
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