2169人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺が裸だとお前にとって何か都合がいいのか?」
屋久蓑部長から溜め息混じりに聞かれてしまって、
「めっ、滅相もございません!」
とソワソワしてしまった余り、
「お、男の人の裸なんて普段からめっちゃ見慣れてますので!」
とか大嘘のハッタリをかましてしまった。
「ほぉー、それは期待できそうだ。――で、実際のところどうなんだ?」
「え?」
「だからっ。男物の服があるのかないのかって話」
「あ、そ、そのっ……ざ、残念ですっ! い、今っ丁度っ、か、彼氏を切らしてる真っ最中でっ! ちょっと前までは潤沢だったんですけど……」
なんて、店の棚にある商品在庫をたまたま売り切れさせているみたいな言い方をしてしまった羽理なのだ。
その上で内心、
(しょ、初対面の上司に自分の身体を見て反応するか否か聞くような女ですよ!? 彼氏いたら普通そんな馬鹿なこと聞きませんよね!? 部長様ならそのくらい察して頂けませんかね!?)
などと脳内でまくし立てるように思っていたりする。
「あー、すまん。何か俺……、色々配慮が足りてなかったみたいだな……」
だが、あっさりと嘘を見抜かれたみたいにそう結論付けられては、何となく女性としての沽券を踏みにじられたようで面白くないではないか。
「本当それですよ。――屋久蓑部長ってばタイミングが悪いんだからぁ!」
それで苦し紛れにそんなことを言ったら「何だそれ」と苦笑されて。
「なぁ、ちなみに聞いてみるんだが……ここの住所は?」
タイミング云々についてはあっさりとスルーされて、話を変えられてしまった。
---------------------
上のイラストの制作秘話?的なものをエッセイ675頁(https://estar.jp/novels/26049096/viewer?page=675)に載せています。
もしよろしければ♥
---------------------
最初のコメントを投稿しよう!