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「たいちゃんと好い仲だって知られたら、きっと他の女性社員らから妬まれたりするよね? たいちゃんは彼女をそんな悪意から守ってあげられる? 下手したら荒木さん、課長時代のたいちゃんと同じ目に遭っちゃうかもしれないよ?」
「そ、それは……」
「そこで僕とたいちゃんが血縁って話が持ち上がったりしたら……余計ややこしいことになるよね」
恵介伯父の言葉に大葉はハッと瞳を見開いた。
「たいちゃんも薄々気付いてるかなって思うんだけど……倍相くんはたいちゃんが僕の身内だってこと、何年も前から知ってるんじゃないかと思うんだ。――昔、たいちゃんに関する変な噂を流したのも、恐らく彼だろうなって僕は思ってる」
「……実はさっき、倍相本人から俺と恵介伯父さんのこと、たまたま聞く機会があってずっと前から知ってたって告げられました」
「えっ!? それ、倍相くんの方から言ってきたの?」
――どういう心境の変化だろうね?とつぶやく恵介伯父に、大葉の頭の中で羽理から告げられた推測――BL展開――がちらついたのだけれど、有り得ねぇだろ!と追い払った。
そのせいで、倍相が変化した契機をうまく説明できなくて。
「――なぁ、たいちゃん。今から話すことは証拠がなかったから今までずっと黙ってたんだけど……。倍相くん自らがたいちゃんに僕らが血縁なことを知ってたって告白してきたんだとしたら……。倍相くんがそのことを知るきっかけを作ったのはきっと僕だ」
恵介伯父が申し訳なさそうに眉根を寄せるのを見て、大葉は「話してくださいますか? その話」と問い掛けて居住まいを正した。
恵介伯父は大葉に向って深くうなずくと、
「キミが課長に昇進して間もない頃の話なんだけどね」
どこか遠い目をしてそう切り出した。
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