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「たいちゃんが異例の出世をしたって本当!?」
いつもチャキチャキした印象の柚子が、自分のことみたいに嬉しげに身を乗り出すのを見て、思わず笑みが漏れた恵介だ。
子供の頃から、すぐ下の末っ子・大葉のことを召使いみたいにこき使って振り回すくせに、弟に何かあるといの一番に駆けつけるのも彼のすぐ上の姉、柚子だった。
「ああ、そうなんだよ」
「……ねぇ、伯父さん、それってもちろん……たいちゃんの実力、よね?」
一歩引いたところから。
身内贔屓で色を付けたわけじゃないわよね?と言外に含めてきたのは、常に沈着冷静な印象を与える長女の七味だ。
「僕は仕事に関しては非情だよ? 可愛い甥っ子だからって贔屓はしない。だからね、今回のことは言うまでもなくあの子の実力だ」
「そう、良かった……」
恵介の言葉に、やっと七味がほんの少しだけ表情を緩めた。
七味はクールビューティーで、柚子のように感情をあらわにはしないけれど、下手すると柚子以上に一番下の大葉のことを溺愛しているのがうかがえる。
「もし、伯父さんが甥っ子可愛さに手を回したりしてたら……あの子、傷つくもの」
結局は弟のため。
そう言い切った七味に、恵介は本当に仲の良い姉妹弟だなと思って。
目の前の姪っ子たちを交互に見つめた。
(……二人とも凄く美人なんだけど……あんまり果恵には似てないんだよね)
見た目も性格も、恵介の最愛の妹であり彼女らの母親でもある果恵に余り似ていない姉妹だ。
どちらかと言えば、二人とも父親の聡志似。
聡志も整った顔をしたハンサムだから、彼に似た七味と柚子も相当な別嬪さんだと思う。
だが、恵介にとって一番美人で可愛くて愛しいのは実妹の果恵に他ならなかったから。
果恵似であるかどうかが、好みの優劣に思い切り影響してしまう。
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羽理が大葉のため、料理にチャレンジするお話です。 もし宜しければ♥
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