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「これに靴下履いたら死ぬほどアンバランスだろ」
想像しただけで余りのシュールさに自分でも笑えてしまう。
まぁサンダルは外を歩くのに必要だとして、ソックスとレインポンチョは何のために買ってきた!?と思ってしまった大葉だ。
「レインポンチョ羽織ったら色々誤魔化せませんかね!?」
ポンチョを片手に眉根を寄せる大葉へ、荒木がワクワクした様子で大葉の手元を指さしてくる。
「いや、雨も降ってねぇのにこんなん着てたら怪しさに拍車を掛けるだけだろ」
警察から職務質問なんて受けようものなら、ポンチョの下はズボンなしのトランクス。
変質者認定されてお縄になること請け合いではないか。
とりあえず裸一貫で飛ばされては来たものの、不幸中の幸い。
大葉のマンションは暗証番号を入力するタイプのキーレスキー対応住宅だったから。
荒木が買って来てくれた適当な衣服に身を包んで、タクシーで自宅まで帰れば何とかなるだろうと思っていたのだけれど。
さすがにこれは、と思って……。
「なぁ、荒木。迷惑ついでにもう一つ聞いてみるんだが……お前車とか」
「持ってますよぅ? イエローがまぶしいビタミンカラーのダイハチュのコッペンちゃんです」
それはツーシートのオープンカータイプの軽自動車の名だ。
「もちろんルーフは閉まるよな?」
「閉まりますけど今の時期はフルオープンも気持ちいいです!」
一応スポーツカーと言う部類の車なので、街中を颯爽と走るならば確かにルーフなしも気持ちいいだろう。
だが――。
「ちゃんと礼はするから、しっかりルーフを閉ざした状態でうちまで乗せて帰ってもらえないだろうか」
この姿で外へ出るとなると、なるべくなら密閉空間にしてもらえた方が有難いと思ってしまった大葉だ。
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