27.実家とアルバムと、えこひいきな撮影者

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***  外観はどう見ても日本家屋な屋久蓑家(やくみのけ)だけれど、中へ入ってみると十七畳ちょっとあるというだだっ広いLDKの足元は、全てフローリングになっていた。  キッチンは今どきのペニンシュラキッチンで、四ツくちコンロ側が壁に面している形。その作業スペースと向き合うようにスツールが三つ置かれているさまは、まるでバーカウンターのようにお洒落(しゃれ)だった。  そこから視線をパーンすれば、部屋の真ん中よりややキッチン寄りの場所へ、大理石調の白い天板を冠した大きなダイニングテーブルセットが置かれているのが目に入る。羽理(うり)が驚いたのは、そのテーブル上に三〇センチ幅のライトグレーのテーブルランナーが敷かれていたことだ。 (一体どこのお貴族様のお屋敷ですかっ)  羽理の実家の小さなダイニングテーブルには、長年愛用してきた天板の汚れと傷を隠すため、近所のホームセンターで買ってきた花柄のテーブルクロスが掛けてあったが、それとはえらい違いである。  そのお貴族様仕様のテーブル横を通り過ぎて、ソファなどが置かれた前――。ふかふかのペルシャ絨毯(じゅうたん)の上へ座るように言われた羽理は、痛みに眉根を寄せながらそっと腰を下ろしたのだけれど。  支えにした革張りソファの手触りもさることながら、 「はわぁー」  絨毯の、余りの肌触りのよさに思わず感嘆の声が漏れてしまった。
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