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『でね、そこで彼女に貴方のアルバムを見せてあげたらしいんだけど……』
「はっ? 何でっ!?」
『それは柚子に直接聞きなさいよ。私がしたわけじゃないんだから』
幼い頃のアルバムなんて、ハッキリ言って恥のオンパレードだ。姉二人に女装させられているものもやたらあるし、とにかく『いつ撮ったんだ!?』と問いたくなるような無防備な隠し撮り系――伯父によると自然体の大葉らしいが――ばかりなのだ。
両親や伯父、それに姉たちは可愛いと褒めそやすけれど、大葉にとってみれば、全部処分して欲しいくらい恥ずかしい。
(俺のアルバムだけ異様に多いのも気持ち悪いんだ)
七味や柚子のアルバムも自分と同じぐらい何十冊も並んでいると言うのならまだしも、何故か自分のものだけ異常に多いことも、大葉を余計に弱らせている。
せめて厳選して三冊ぐらいにまとめてくれと何度家族へ願い出たことか。その度に伯父と母の壮絶な拒絶に遭って、願いが叶えられないまま現在に至る。
大葉は実家へ出向いた折、何度かこっそりアルバムを数冊抜いて持ち帰ったことがある。だが次に実家へ行くと、恐ろしいことに元通り欠番が補充されていているのだ。恐らくは、伯父がネガから焼き増しして、失くなったアルバムを補填してしまうのだろう。
実際に見たわけではないが、伯父の家には母が作ったアルバムに対応する形でネガが仕舞い込まれているとしか思えなくて、その執着ぶりにゾワリとしたものだ。きっとあの超絶妹溺愛兄貴な伯父のことだ。母に頼られたのが嬉しくて、ホクホクで焼き増したに違いない。
それを羽理に見られたと思うと、溜め息しか出ないではないか。
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