28.実家とアルバムと、えこひいきな撮影者

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***  柚子(ゆず)と二人でキャッキャ言いながら大葉(たいよう)のアルバムを見ていた羽理(うり)は、沢山ある写真の中、それだけポラロイドカメラで撮られたと思われる一枚に視線を奪われた。  大葉(たいよう)のアルバムなので、大半は大葉(たいよう)単体の写真で埋め尽くされている。けれど、時折ほかのご家族と一緒に写っているものもあって。  大抵はお姉さんたちとの可愛らしい和気藹々(わきあいあい)写真なのだが、羽理が目を()めたポラロイド写真は産院で撮られたものだろうか? 産着(うぶぎ)にくるまれたしわくちゃの大葉(たいよう)を抱いた、母親と(おぼ)しき人物とのツーショット写真だった。 「大葉(たいよう)は……お母様似なんですね」  お父様もすっごくイケメンだけれど、顔が整い過ぎていて少し近付きがたい印象を受ける。おそらく、大葉(たいよう)のお姉さん二人――七味(ななみ)と柚子は、父親似なんだろう。凛とした印象の、キリッとした美人姉妹だ。  柚子も(うるわ)し過ぎて、初対面の時はちょっぴり気後れしてしまったのを覚えている。でも話してみると、見た目とは裏腹に物凄く気さくな性格の人で、すぐに打ち解けられた。  対して、大葉(たいよう)の方は一見近寄りがたい美形の癖に、どこか優し気に見える顔つきをしている。その、何となくほわっとした印象を与える面立ちは、どう見ても母親譲りに見えた。 「そうそう。たいちゃんだけ私たち三姉妹弟(さんきょうだい)のなかで唯一母親似なの!」  だから写真の枚数も、大葉(たいよう)のだけが図抜けて多いのだとクスクス笑う柚子に、羽理はキョトンとする。 「え? 大葉(たいよう)の写真が多いのって……彼が黒一点だからじゃないんですか?」
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