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「それは大葉が良くないわねっ!?」
ややして、やや食い気味につぶやいた果恵が、ギュッと羽理の手を握りしめてきて、「そんな大事なこと隠しておかれたとか……知ったとき、辛かったでしょう!? 怒って当然だわ! 本当、うちの馬鹿息子がごめんなさいね? あの子が来たら思いっきり責めてやりましょう!? 私も加勢するから!」と、握ったままの羽理の手をブンブン振りながら激励してくれる。
柚子からは大葉を擁護する言葉ばかりだったから、羽理は勝手に、きっと果恵からもそうされるものだと思い込んでいた。
でも実際はそうではなくて、自分の気持ちに寄り添ってもらえたことが、鼻の奥がツンと痛むくらい嬉しくて――。
でも、それと同時に〝あの子が来たら〟という文言が引っかかってしまう。
「あ、あの……果恵、さん……今」
「やだ、羽理ちゃん! 果恵さんだなんて他人行儀よぅ? 『お義母さん』って呼んで?」
ぎゅうっと掴まれたままの両手に力を込められた羽理は、戸惑いながらも「お、かあ、さま……?」と呼び掛けたのだけれど。
途端、果恵がぱぁっと瞳を輝かせて「なぁに、羽理ちゃん?」とこちらを見詰めてくるから。
羽理は大葉と似た美貌の義母(?)の視線にソワソワしながら「あの……聞き間違いだったらすみません。もしかして……大葉、こちらに向かっていたり……します、か?」としどろもどろになりながら言葉を紡いだ。
「ええ、さっき、羽理ちゃんのこと引き留めといて欲しいって連絡があったから。……もう着く頃じゃないかしら?」
のほほんとした調子で小首をかしげる果恵に、羽理は瞳を見開いた。
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本編70,000☆達成のお礼にスター特典を追加しました♥
https://estar.jp/extra_novels/26245480
例によってくだらないお話ですがもし宜しければ❤️
※本編に☆1で解放されます。
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