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「今日会社へ行って社長に……っていうか伯父に会ったのは羽理にプロポーズしてOKもらえたって報告と、だから見合いは出来ないってハッキリ伝えるためだ」
「本当……?」
「ああ、本当だ。何なら今から恵介伯父さんに電話して確認してもらったって構わねぇよ。大体今日こんな格好をしたのだって、伯父さんに俺の本気を分かってもらうためだったし」
色々ありすぎて汗だくになってしまったからヨレヨレ感は否めない。けれど、スーツにきっちりネクタイまで締めた自分の姿を見下ろしたら、不意に羽理がギュウッとしがみ付いてきた。
スリスリと大葉の胸元におでこを擦りつけるようにしながら、「かっこいい」と言ってくれて――。
今まで大葉の手に怯えて隅の方へうずくまって震えていたように見えた仔猫が、やっと気を許してすり寄ってきてくれたような……そんな錯覚を覚えた大葉だ。当然のように甘えん坊な仔猫ちゃんに思いっきりハートを鷲掴みにされてしまう。
大葉は羽理の背中を片腕でギュウッと抱き締めると、思いっきり照れまくっている顔を見られないよう彼女の後頭部を自分の胸へ押さえつけるようにしながら言った。
「羽理。俺が甘やかしたいのも可愛がりたいのも……一生そばにいて欲しい、結婚して欲しいって思えるのも……お前一人だけだ。……愛してる」
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【お知らせ】
前の頁の裏話的なことをエッセイ61頁(https://estar.jp/novels/26236867/viewer?page=61)に上げています。
もしご興味があられましたら♡
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