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「羽理?」
何も答えずにいたからだろう。大葉が羽理の頬に手を添えて、自分の方を向くよう仕向けてきた。
「ひゃい! らいじょぶ、れす!」
――はい! 大丈夫です!
そう答えたつもりが噛みまくりになって、それがさらに恥ずかしさに拍車をかける。
羽理は生れて初めての恋人との入浴にドギマギしまくりなのだ。それを理解して欲しい。
「あ、あのっ、……それより……」
お湯の中にいても自分を横抱きにしている大葉からは丸見えな気がして、懸命に両手で胸を覆い隠しながらきゅぅっと縮こまったら「心配しなくていい。ちゃんと身体はシャワーでサッと流して湯船に浸かったから」とか。
(いや、それも大事ですが、いま私が気にしているのはそこではなく、この現状そのものについてなのですがっ!?)
と思ってしまった羽理である。
「え、えっと……違……くて。その……大葉と一緒に……お風呂……とか、恥ずかしすぎる、ん……です、けど……」
「今まで風呂上り、さんざん素っ裸で対面しまくったのに?」
大葉が言うとおり、何度も風呂上がりに一糸まとわぬ姿をお披露目し合っている二人だ。
「今更だろ。第一俺たちはセックスもした仲だ」
――お前の身体は隅々まで見てるぞ? と付け加えてきかねない大葉の物言いに、羽理はお湯の中でバシャバシャと慌てまくった。
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