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「金曜に屋久蓑部長宛の荷物が届いてましたけど、アレがソレですか?」
「ああ」
家ではぽやんとしている印象が強い羽理だが、やはり会社では冴えているらしい。
大葉は、羽理の鋭い指摘にドキッとしてしまった。
「会社宛てに私的な荷物送っちゃうとかいけないんだぁー。公私混同反対」
そんなこと思っていないだろうに、羽理が珍しく意地悪に非難してくるのが可愛くて、「時間指定出来なかったんだ。大目に見てくれ」と言いながら、大葉はすぐに反撃を思い付いた。
「けど……そうだなぁ。羽理がそれを気にするってんなら……。残念だがこっちの自宅用に買ったのは会社のみんなへ配ろう」
ククッと笑ってそう告げた途端、羽理が「大目に見ます!」と、すぐさま意見を翻した。
そんなこんなで昨夜のうちにいくつか羽理と食べてみたのだが、とても美味しかった。
自分たちで中に餡やクリームチーズを詰めないといけないのは面倒とも思えるが、考えようによってはチーズと粒あんの比率を自分好みにカスタマイズできていい。
「お母さんもおばあちゃんもこういうひと手間掛けるの好きなので喜ぶと思います」
お母さんなんかはチーズ増量とか色々遊んじゃいそうです、と嬉しそうに付け加える羽理を助手席に、大葉は羽理の実家へと愛車エキュストレイルを走らせた。
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