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「実は今日こちらへお伺いしたのは、羽理さんと結婚を前提とした同棲のお許しを頂きたくてのことです。羽理さんを必ず幸せにすると誓います! お願いです。どうか、羽理さんとの同棲と結婚をお許し頂けないでしょうか?」
言うと同時、深く深く頭を下げた大葉を見て、羽理も慌てて「お願いします」と頭を下げる気配がする。
大葉は畳を見詰めたまま、羽理が自分と同じ気持ちで足並みをそろえてくれたことにじーんとしたのだけれど。
「もぉ、うーちゃん、そういうことはお菓子を置いてから言うものよ?」
クスクスと乃子が笑う声がして、大葉はうつむいたまま(え?)と思った。
「だってぇ……大葉がいきなり大事な話、切り出すんだもん!」
羽理としては、手にしたばかりの月たまをどうしていいか迷ったらしい。
「そういう締まらんところがりっちゃんらしゅうてええの」
ガハハと豪快な笑い声とともに、「そもそもわしゃあ乃子を孕ませた相手から何の挨拶も貰ぉちょらん身じゃけん」と吐息を落とした初が、「こうやってわざわざ挨拶に来てくれたっちゅうだけでわしは大賛成なんじゃが。乃子はどうかいの?」と娘を見詰めた。
「私も……反対する理由はないです」
乃子の言葉に、「じゃあ」と顔を上げた大葉だったのだけれど。
すぐさま「ただ……」と続けられて、にわかに緊張で身体を固くした。
「ただ……絶対にこの子を裏切らないと約束して下さい。散々期待させて捨てるのだけは絶対に無しです。もし……そんなことをなさったら、私は地の底まで貴方を追い掛けて息の根を止めますから」
乃子の真剣なまなざしに、大葉は「お約束します」と答えて、再度深々と頭を下げる。
そんな大葉の横で、猫神様を真っ白にしたみたいな毛皮が、「おめでとう」と祝福するみたいにニャニャーンと鳴いた。
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【お知らせ】
昨日なんですが、気まぐれ書き下ろしスター特典を追加しています。
https://estar.jp/extra_novels/26264652
※先に発表した『誓い』https://estar.jp/extra_novels/26263026
の後日談的なお話かも?
もし宜しければ。
※エッセイに、スタ特に絡めた作品語りをしました。
https://estar.jp/novels/26236867/viewer?page=125
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